シンボル展示

三重県内の和洋菓子職人たちがつくる巨大工芸菓子

100名を超える和洋菓子職人が集結!お菓子で表現するお伊勢参りのにぎわい。

お伊勢参りのにぎわいを巨大工芸菓子で表現

日本最大級のお菓子の祭典である菓子博の伊勢市開催が決定になり、三重県内の菓子職人たちにこのニュースは駆け巡った。
さっそくシンボル展示制作会を発足したところ、三重らしく壮大な工芸菓子作品をつくろう!と100名を超える和洋菓子職人が集まった。

作品のテーマは開催地にちなみ「お伊勢参りのにぎわい」だ。浮世絵師歌川広重の「伊勢参宮 宮川の渡し」をモチーフに、多くの人が行き交い活気あふれるお伊勢まいりの様子を表現する。制作ジャンルを分け、5つのチームが各パーツの制作を行うことで、幅約10m×奥行約5.5mの壮大なスケールの工芸菓子展示となることとなった。

「お伊勢参りのにぎわい」をお菓子で表現する挑戦

所蔵 かめやま美術館

歌川広重作 浮世絵「伊勢参宮 宮川の渡し」をモチーフに江戸時代のお伊勢参りのにぎわいを巨大工芸菓子で表現。三重県内の和洋菓子職人が匠の技を集結します。

シンボル展示制作会は、菓子博開催の約1年半前、2015年の10月からはじまった。
どんな作品にするのか、なにを、どれだけ、どのようにつくるのか・・・そんな疑問や課題だらけだが、何度も講習を重ね、技術修練と工夫を行うことで、制作メンバーの中で巨大工芸菓子のイメージが徐々に共有され、「お伊勢参りのにぎわいをお菓子で表現する」という壮大なテーマに対して、日々挑戦を続けている。

ここでは会場で実際の作品が見られるまで、その制作過程をご紹介します。

制作過程のご紹介

工芸菓子とは?

お菓子の材料を使い、あるテーマを写実的・立体的に表現した芸術作品のこと。和菓子は主に花鳥風月などの自然、洋菓子は人物や建物、造形物などを創作されています。
本物と見間違うほどの精巧さと美しさが魅力です。

シンボル展示制作日記パート1

細やかな感性と緻密な技から生まれた6万輪の桜

シンボル展示のモチーフとなる浮世絵「伊勢参宮 宮川の渡し」には桜は描かれていない。
けれど、北勢エリアのチーム桜では仕事を終えた菓子職人達が集まり、桜の制作作業がはじまっていた。江戸時代に描かれた宮川と、桜の名所として親しまれている現代の宮川が交差する、全く新しい作品にチャレンジするのだと、チームリーダーの岡本伸治氏は言う。
桜型に抜いた花びらを芯に取り付け、
繊細な技術と感性から生み出される6万輪の桜たち。
お菓子で表現される桜並木が今から待ち遠しい。

シンボル展示制作日記パート2

10万本の松葉で表現する浮世絵の風景

盆栽や庭園などでみられる美しい松。しかし今回のシンボル展示では自然に息づく松の木を制作する。担当しているのは中勢地区のチーム松葉。
細い1本の松葉を約10万本つくり、それらを束ね合わせ、一本の松を作り上げる。そんな気が遠くなりそうな制作を職人たちは慣れた手つきで進めていく。その精緻なパーツがあるからこそ、お伊勢参りのにぎわい風景に深みと奥行きを表現することができるのだという。
一本一本の精密さによって生み出される松の風合いは、ぜひ会場で確かめてもらいたい。

シンボル展示制作日記パート3

お菓子でつくる建築家集団の匠の技

お菓子の建物というとクッキーやチョコレートを組み立てたかわいいお菓子の家が浮かぶが、今回のシンボル展示は江戸時代の和風建築が主となるため、難易度は格段に高まる。
挑戦するのは南勢地区のチーム建物。
柱を作る、コテで壁を塗る、組み立てる、瓦を葺くなど、まるで大工や左官職人たちが建築現場で建物を建てているかのような作業が行われていた。違うのはサイズと素材。色合いを調整し、何度も図面を引き、道具を工夫し、建築と同じような工程を経ることで、お菓子の建築家たちは作品に見事な奥行きを作り出していた。人々が行き交う街道の町並みにも注目してほしい。

シンボル展示制作日記パート4

お伊勢参りのにぎわいに命を吹き込むお菓子の人形たち

お伊勢参りといえば、沿道などを行き交う旅人たちの活気にあふれた風景が浮かぶ。
そんなにぎわいを表現するには多くの人形が必要となるが、今回のシンボル展示では約250体の人形を制作するというから驚きだ。しかも時代は江戸時代。時代考証や衣装や小物、男女や年齢比など、検証する作業は膨大なものになる。まず資料や素材を勉強し、なにをどれだけ作るかを考えることからはじまる。
そんな難題に直面しながらもチームパティシエの面々は職人気質を発揮し、シンボル展示に華を添える人形を作り出していた。

シンボル展示制作日記パート5

作品の世界感を支える自然風景をお菓子で創造

巨大サイズの工芸菓子。その世界観を支えるためには壮大なスケールの自然造形物が必要になる。
作品の土台となる自然風景を担当するのは今回のシンボル展示制作会を取り仕切っている早川賢氏。
膨大な試行錯誤を経て、大型のスポンジケーキを焼き上げカットし、それらを積み上げて山や丘を作り出す。
さらに斜面を和菓子の材料でリアルな質感を表現していた。和洋菓子の素材と技術が融合した瞬間。
これらの風景がシンボル展示にどのような効果を生み出すのか、期待したい。

シンボル展示制作日記~番外編~

各グループの成果が終結。かつてない作品への期待感が高まる。

シンボル展示制作を進めていた5グループが100日前を迎え、制作物の一部を持ち寄った。
風貌豊かな松が立ち並び、満開の桜の木が寄り添うのは味わいのある茶屋、その傍らを表情豊かな人形たちが行き交う賑やかな風景。実際に各作品を並べてみることで、制作モチーフになっている浮世絵「伊勢参宮 宮川の渡し」の一端を垣間見る事ができるが、各グループリーダーたちは完成を見据え、納得のいくまで調整や打合せに余念がない。

開幕まであと100日、職人たちの挑戦は、まだ終わらない。

シンボル展示制作の様子